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遺留分

Q73 父は,遺言書を残して亡くなったのですが,遺言書には母と弟に遺産の全てを相続すると記載されていました。私は,父の遺産を全く相続することができないのでしょうか?

A73 遺産を相続できる可能性があります。
民法では,相続人の相続する利益を保障するために,遺産の一定割合については相続させなければならないことになっています。逆からいえば,亡くなられた方(被相続人)が遺産の中で,相続人のために残しておかなければならないということになり,この一定の割合のことを遺留分といいます。つまり,遺留分は,相続人を守る最低限の保障であるといえます。ですから,遺言書であっても,この遺留分を侵害することは認められません。
そして,相続人の遺留分は,その相続人が被相続人から生前に受けたものなどを考慮して計算されるものです。ですから,相続の時点で遺産の相続ができなかったからといって必ず保障されるわけではありません。

Q74 全ての相続人に遺留分が認められるのですか?

A74 全ての相続人に遺留分が認められるわけではありません。
亡くなられた方の配偶者は常に相続人となり,第1順位が子,孫などの直径卑属,第2順位が両親,祖父母などの直径尊属,第3順位が兄弟姉妹となっていますが,第3順位の兄弟姉妹には遺留分がありません。

Q75 養子にも遺留分は認められるのですか?

A75 養子にも遺留分は認められます。 相続の上では養子も実子も区別はなく,同じ「子」として取り扱われますので,遺留分が認められるのです。

Q76 愛人との間に生まれた子供にも遺留分は認められるのでしょうか?

A76 認められます。
婚姻届を提出していない男女の間で生まれた子のことを非嫡出子といいますが,この非嫡出子にも遺留分は認められています。
ただし,非嫡出子の遺留分は,実子である嫡出子がいる場合には,1:2の割合ということになります。

Q77 相続人に対して残しておかなければならない遺留分の割合について教えてください。

A77 遺留分は,相続される財産を基準に算出されます。そして,相続人が両親や祖父母などの直系尊属だけのときは相続財産に対して3分の1,その他の場合には相続財産に対して2分の1が遺留分となるのです。
この相続財産に対する遺留分を,各相続人の相続分,頭数に応じた割合について遺留分が認められることになるのです。なお,相続分についてはQ42を参照してください。

Q78 私たち夫婦には子供がおらず,夫の両親,兄弟も亡くなられておりません。夫が亡くなった場合の私の遺留分について教えてください。

A78 質問の場合ですと,相続人が配偶者であるあなただけになります。ですから,あなたの遺留分は,遺産に対して2分の1となります。

Q79 私には夫と2人の子供がいますが,夫が亡くなったときの私や子供らの遺留分について教えてください。

A79 配偶者と2人の子ですので,相続人全員の遺留分は相続財産の2分の1となります。
そして,配偶者と第1順位の相続人(子)2人との割合は1:1で,第1順位の相続人の間では,頭数で分けることになりますので,つぎのようになります。 配偶者    1/2×1/2=1/4 子      1/2×1/2×1/2=1/8 子      1/2×1/2×1/2=1/8

Q80 私たち夫婦には子供がいませんが,夫の両親が健在です。私の夫が亡くなったときの遺留分について教えてください。

A80 相続人は配偶者(あなた)と直系尊属(夫の両親)になりますので,相続財産の2分の1が遺留分となります。
そして,配偶者と第2順位の相続人(直系尊属)との割合は2:1で,第2順位の相続人の間では,頭数で分けることになりますので,次のようになります。
配偶者    1/2×2/3=1/3
父      1/2×1/3×1/2=1/12
母      1/2×1/3×1/2=1/12

Q81 私たち夫婦には子供がいるのですが,その子供には妻も子供もいません。このとき私たち夫婦の子供が亡くなった際の遺留分について教えてだくさい。

A81 相続人が直系尊属(あなたと配偶者)だけですので,相続財産の3分の1が遺留分となります。
そして,あなたと配偶者がその遺留分を分け合うことになりますので,次のようになります。
あなた   1/3×1/2=1/6
配偶者   1/3×1/2=1/6

Q82 私の夫には姉と弟がいるのですが,夫が亡くなった際の遺留分について教えてください。

A82 相続人は配偶者(あなた)と兄弟姉妹になりますので,遺留分は相続財産の2分の1となります。
ただし,兄弟姉妹には遺留分はありませんので,配偶者のみが遺留分を有することになり,次のようになります。
あなた   1/2

Q83 遺留分を計算するときに対象となる財産は,現に存在している財産を基準にすればよいのですか?

A83 いいえ,違います。
遺留分を算定するときに基礎とする財産は,被相続人が亡くなられたときに存在する財産だけではなく,次に示すものを財産に組み戻し,さらに負債を差し引いて計算することになります。
被相続人が生前に,相続人の婚姻,養子縁組のため,あるいは生計の資本として贈与した価額。
被相続人の死亡前1年内にした贈与の価額
被相続人が死亡する1年以上前にした贈与でも,被相続人とそれを受けた者がともに遺留分権利者に損害を加えることを承知でした贈与の価額

Q84 被相続人が死亡する1年以上前にした贈与でも,被相続人とそれを受けた者がともに遺留分権利者に損害を加えることを承知でした贈与については,遺留分の計算において基礎となる財産に組み戻すことになるそうですが,遺留分権利者に損害を加えることを承知していたというのは,どのような場合をいうのですか?

A84 遺留分権利者に損害を加えることを承知していたというのは,裁判例では,贈与が遺留分を侵害したものであるという事実を認識した上で,さらに将来被相続人の財産が増加しないということを予測できる場合であるとされています。
ですから,遺留分権利者を害することを知っていたということを証明するのは非常に難しいと思われます。

Q85 父は,愛人に対して,6000万円相当のマンションを500万円で譲渡しました。私たち兄弟の遺留分を計算するとき,愛人に安価で譲渡したマンションを組み入れて計算することはできないのですか?

A85 Q83で説明したように,遺留分を計算する際に組み戻す財産は,原則として被相続人が亡くなる1年以内に贈与された財産です。
しかし,不相当な価格で譲渡した場合には,贈与したのと同様ですので,遺留分算出の際には組み戻される扱いになります。
また,不相当な価格で譲渡されている場合,譲受人は,通常,被相続人と何らかの深い関係にあることが多いと思われ,譲受人が被相続人の財産の内容を知っていることもあろうかと思われます。ですから,この場合,被相続人が亡くなったときから1年以上前のものであっても組み戻しの対象となる可能性がありますので,よく検討する必要があるでしょう。

Q86 父は,6ヶ月前,身のまわりの世話をすることを条件に,愛人に自宅を贈与し,亡くなりました。このような場合にも,遺留分を計算する場合,贈与した財産を組み戻して計算してよいのでしょうか?

A86 Q83で説明したように,遺留分を計算する際に組み戻す財産は,原則として被相続人が亡くなる1年以内に贈与された財産ですので,質問のような場合にも組み戻されることになります。
ただし,身のまわりの世話をするという条件で贈与しています(このような贈与を負担付贈与といいます。)ので贈与した財産をそのまま組み戻すわけではありません。贈与された人の負担に応じて減額されることになるのですが,その評価は容易にできるものではありません。このような場合には,家庭裁判所の鑑定人に評価してもうらことになります。

Q87 私は,生前父から現在住んでいる自宅の土地について贈与を受けました。私が過去に受けた贈与についても減殺請求の対象となるのでしょうか?

A87 民法の規定により減殺請求の対象となります。質問のような場合,あなたは特別受益を受けたといいいます。特別受益は,1年以上前のものも減殺請求の対象となるとされているのです。
最高裁判例でも,相続人に対する贈与は,それが相続開始よりも相当以前にされたものであって,その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人などの関係者の個人的事情の変化を考慮すると,減殺請求を認めることが当該相続人に酷である,といった特段の事情のないかぎり減殺請求の対象となるとされています。

Q88 遺留分減殺請求を行う際,過去に贈与された財産はいつの時点を基準に評価することになるのですか?

A88 相続開始時を基準に評価することになります。

Q89 相続の放棄については聞いたことがあるのですが,遺留分についても放棄することができるのでしょうか?

A89 遺留分を放棄することもできます。
相続放棄(Q51,Q52参照)とは異なり相続開始前でも放棄することは可能です。ただし,相続開始後に遺留分を放棄するには何らの手続も必要ありませんが,相続開始前に放棄するには家庭裁判所に申立てる必要があります。

Q90 遺留分を放棄した場合,他の相続人の遺留分は増えるのでしょうか?

A90 1人の相続人が遺留分を放棄しても,他の相続人の遺留分は増えることはありません。
遺留分が放棄された場合,相続人全体の遺留分が放棄されただけ減少することになり,被相続人の財産処分の自由度が高まることになるのです。遺留分の放棄は,被相続人の財産処分の自由度高めるための制度であることを覚えておいてください。

Q91 遺留分を放棄したものが相続を受けることができるのでしょうか?

A91 遺留分を放棄したとしても相続を受けることができます。
遺留分の放棄と相続放棄は別個の制度ですので,遺留分を放棄したからといって相続を放棄したことにはならないのです。

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