メンバー紹介画像

相続・税金のご相談はNPO法人近畿遺言相続サポートセンターへ トップ > よくある相談事例 > 相続税の軽減措置

相続税の軽減措置

Q199 中小企業経営承継円滑化法では,事業承継時の相続税軽減措置がとられるとのことですが,具体的にはどのような軽減措置がとられることになるのですか?

A199 中小企業基本法上の中小企業であって,非上場会社であること,資産管理会社でないことなどの要件をみたす会社の株式や持分を相続や遺贈によって取得した場合の相続税については,税額の80%をについて納税の猶予を受けることができ,相続人が死亡するときまでその株式を保有し続けた場合などに猶予税額の納付を免除されます。 この納税猶予の制度は,平成21年の税制改正によって実施されるのですが,平成20年10月1日以後に開始した相続に遡及適用される予定になっています。

Q200 中小企業基本法の中小企業とは,どのような会社をいうのですか?

A200 中小企業基本法の中小企業とは,以下の会社及び個人をいいます。     ⅰ 製造業,建設業,運輸業など 資本金の額又は出資の総額が3億円以下 従業員の数が300人以下 ⅱ 卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下 従業員の数が100人以下 ⅲ サービス業 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下 従業員の数が100人以下 ⅳ 小売業 資本金の額又は出資の総額が5000万円以下 従業員の数が50人以下

Q201 相続税の軽減措置を受けるには,資産管理会社でないことが条件になっていますが,資産管理会社とはどのような会社をいうのですか?

A201 資産管理会社とは,「簿価ベースで,有価証券,不動産,現預金等の合計額総資産の70%を占める会社」,「これらの運用収入の合計額が総収入金額の75%以上を占める会社」をいいます。    ただし,有価証券,不動産などを用いて事業を営んでいる会社は資産管理会社から除かれます。

Q202 資産管理会社と判断される際の保有財産のうち,「有価証券」とは具体的にどのようなものを指すのですか?

A202 国際証券,地方債証券,株券,その他の金融商品取引法2条1項に規定する有価証券と他の持分会社の持分がこれにあたります。

Q203 資産管理会社と判断される際の保有資産のうち,「不動産」とは具体的にどのようなものを指すのですか?

A203 所有不動産のうち,自ら使用していないものがこれにあたります。遊休地として放置している土地や,第三者に賃貸している土地,建物がこれにあたります。たとえば,従業員の社宅は自己使用になりますが,役員用の住宅は第三者に対する賃貸と判断されます。
不動産賃貸業を営んでいる会社は,上記した条件に該当し資産管理会社に該当する可能性がありますが,一定の要件をみたせば資産管理会社にみなされません。

Q204 資産管理会社と判断される保有資産には,有価証券,不動産,現預金の他にどのような財産がありますか?

A204 ゴルフ会員権,スポーツグラブ会員権,リゾート会員権などの施設利用に関する権利があります。
また,絵画,彫刻,工芸品,陶磁器,骨董品,宝石,貴金属も含まれます。
ただし,上記しました会員権,絵画,宝石,貴金属等を販売する目的で所有しているものは除きます。

Q205 相続や遺贈を受けた代表者や,代表者の同族関係者に対する貸付金・未収金は資産管理会社と判断される際に考慮されるのでしょうか?

A205 代表者や代表者の同族関係者に対する貸付金・未収金は,保有する現預金を計算する際に加算されることになります。

Q206 その他に,相続税の納税猶予を受けることができる条件としてどのようなものがありますか?

A206 まず,直近の事業年度における損益計算書上の総収入金額が0の場合には猶予を受けることができません。
また,常時使用する従業員がいない場合には,猶予を受けることができません。ここでの従業員には,使用人兼役員という者も含まれます。
さらに,風俗営業会社や,特別子会社が上場会社,大法人などの場合にも猶予を受けることができません。

Q207 相続税の軽減措置を受けるには計画的な承継にかかる取組をおこなっていることについて経済産業大臣の確認が必要であると聞いたのですが,このような確認をとっておかなければ軽減措置を受けることができないのですか?

A207 原則的には,経済産業大臣の確認が必要になります。
ただし,平成20年10月1日から平成22年3月31日までは施行直後であることもあり不要とされています。
また,相続や遺贈により株式や持分を承継させる被相続人が60歳未満の者である場合も不要です。
さらに,公正証書遺言による相続または遺贈により,発行済議決権株式総数の50%を超える株式や持分を保有するに至った場合にも不要とされています。
経済産業大臣の確認を得る必要がないようにするために公正証書遺言を作成しておくメリットは高いと言えます。

Q208 相続税の軽減措置を受けるためには,被相続人がどのような者である必要があるのでしょうか?

A208 先に説明しました納税猶予を受けることができる会社の代表者であったこと。 被相続人と同族関係者で発行済議決権株式や持分の総数の50%超の株式や持分を保有しており,同族内で筆頭株主,あるいは持分を有する者であるであったこと。
以上の2つの要件を備えた方からの相続ということになります。

Q209 相続税の軽減措置を受けるためには,株式などの相続や遺贈を受けた後継者がどのような者である必要があるのでしょうか?

A209 先に説明しました納税猶予を受けることができる会社の代表者であること。
亡くなられた被相続人の配偶者,6親等内の血族,3親等内の姻族であること。
後継者と同族関係者で発行済議決権株式や持分の総数の50%を超える株式や持分を保有しており,同族内で筆頭株主,あるいは持分を有する者であること。

Q210 相続税の軽減措置を受けるためには,相続後にも一定の条件をみたしておく必要があると聞いたのですが,相続後の条件とはどのような条件なのですか?

A210 まず,5年間事業を継続し,相続や遺贈を受けた人が代表者であり続けなければなりませんし,相続や遺贈で承継した株式を保有し続けなければなりません。
また,この間,雇用の8割以上を維持し続けなければなりません。ここで,雇用については厚生年金保険や健康保険加入者を基準に判断されますので,パートなどの非正規社員は除かれることになります。

Q211 相続時に80%の納税猶予を受け,最終的に納税の免除を受けるには,どのような条件が必要になるのですか?

A211 相続や遺贈により株式や持分を譲受けた者が,死亡のときまでこれらを保有し続けるなどの一定の場合に猶予税額の納付が免除されることになっています。ただし,詳細については,平成21年の税制改正による税法の改正をもって行われることとなっており,現時点ではその内容が確定していません。

Q212 事業承継にかかる相続税の軽減措置を受けるにはどのような手続が必要になるのですか?

A212 被相続人が亡くなられたときに,事業承継にかかる相続税の軽減措置を受けるための申請を行い,経済産業大臣の認定を受ける必要があります。
そして,申請を行う前提として,被相続人の生前に,計画的な承継にかかる取組についての確認が必要になります。ただし,この確認は,平成20年10月1日から平成22年3月31日までは不要とされ,被相続人が60歳未満の者である場合や公正証書遺言による相続または遺贈により,発行済議決権株式総数の50%を超える株式や持分を保有するに至った場合にも不要とされています。
経済産業大臣の認定を受けた後は,1年に1回事業継続の報告を行い,確認をしてもらう必要があります。この事業報告時に,相続税の軽減措置を受ける条件をみたしていないときには認定が取消されることになります。
また,合併や株式交換などにより組織再編を行った場合にも報告を行い,報告の確認を行ってもらい,存続会社において認定の効果を承継させておかなければなりません。

Q213 経済産業大臣の認定を受けた後に行う,年に1回の事業報告について説明してください。

A213 相続税の軽減措置の適用のベースとなる条件が備わっていることの認定を受けた中小企業者は,認定を受けた日から5年間,毎年1回,計5回報告書を提出することになります。この報告書提出期限は,報告基準日というものが設定され,その翌日から1ヶ月以内に地方経済産業局長に対して提出することになります。この報告を行わなかった場合,認定自体が取消されてしまいます。

Q214 年に1回行う報告では,どのようなことを報告するのですか?

A214 簡単に言えば,相続税の軽減措置を受ける条件を維持しているかどうかをチェックします。
具体的には,以下の事項をチェックするための報告を行います。
常時使用する従業員の数が従業員数起算日における数の8割以上を維持しているか。
後継者が株式などを譲渡していないか。
後継者とその同族関係者で総株主などの議決権数の過半数を有し,同族関係者の中で後継者が筆頭であるかどうか。
風俗営業会社になっていないか。
資産保有会社となっていないか。
報告基準日直近の事業年度の総収入が0でないか。
特別子会社が風俗営業会社になっていないか。

Q215 年に1回行う報告の内容次第では,経済産業大臣の認定が取消されると聞いたのですが,どのような場合に取消されるのでしょうか?

A215 報告書を確認して,相続税の軽減措置を受ける条件の1つでも欠けた場合に取消されることになります。 具体的には,以下のものに該当すれば取消されます。
常時使用する従業員の数が従業員数起算日における数の8割下回った場合。
後継者が株式などを譲渡した場合。
後継者とその同族関係者で総株主などの議決権数の過半数を割った場合。
同族関係者の中で後継者が筆頭でなくなった場合。
風俗営業会社になった場合。
資産保有会社となった場合。
報告基準日直近の事業年度の総収入が0となった場合。
特別子会社が風俗営業会社になった場合。
その他,合併による場合を除き,会社が解散した場合にも取消されることになります。

Q216 経営を承継した相続人が死亡したり,途中で退任した場合には,認定が取消されるのでしょうか?

A216 原則としては取消されてしまいます。
  死亡や退任だけでなく,後継者の代表権に制限を加えた場合にも取消されてしまいます。
ただし,以下の理由により代表者に制限を加えたとしても認定が取消されることはありません。
精神障害者保健福祉手帳(1級)の交付を受けたこと。
身体障害者手帳(1級又は2級)の交付を受けたこと。
要介護認定(要介護五)を受けたこと。
上記に類すると認められること。

Q217 後継者が先代から譲受けた株式について,議決権の制限を加えようと思いますが,このようなことを行っても認定が取り消されることはありませんか?

A217 取消されてしまいます。
この場合,経営権が不完全なものになってしまいますので認定が取消されるのです。

Q218 会社の重要な決定事項について拒否権を与えた株式(いわゆる黄金株)を後継者以外の株主に発行したいと考えているのですが,このようなことを行っても認定が取り消されることはありませんか?

A218 取消されてしまいます。
後継者の意思決定に対して拒否権を行使できる者がある場合には,後継者の経営権が不完全なものとなってしまうため取消されてしまうのです。

Q219 報告書の内容に虚偽の内容が含まれています。このような場合にも認定は取消されてしまうのでしょうか?

A219 取消されてしまいます。
報告を行わなかった場合だけでなく,虚偽の報告を行った場合にも認定は取消されてしまうので気をつけてください。
この他,真実の報告を行っていても,不正な手段により認定を受けた場合には認定自体が取消されてしまいます。

Q220 会社財産の一部を株主に返還するために減資を行うことを考えています。この場合,認定が取消されてしまいませんか?

A220 取消されてしまいます。
   欠損填補目的であれば減資も認められるのですが,それ以外の目的で減資した場合には,取消事由となっています。

Q221 相続税の軽減措置について経済産業大臣の認定を受けている会社が合併を行った場合,認定の効力はどのようになるのでしょうか?

A221 合併には吸収合併と,新たな会社を設立して,当事会社の権利義務がその会社に包括的に承継され,当事会社がいずれも消滅する場合があります。
吸収合併の場合には認定を受けた会社が存続する場合には,合併後に認定の条件が維持されているかどうかが問題となります。
吸収合併の場合で認定を受けた会社が消滅する場合や新設合併の場合には,会社の消滅により認定の効力も原則としては消滅することになります。ただし,吸収合併による存続会社が合併効力発生日に,新設会社の設立日に,それぞれ一定の要件を有することについて,経済産業大臣の認定を受けた場合には,消滅会社の認定の効力を引継ぐことができます。

Q222 合併があった場合に認定の効力を引継ぐには,どのような要件が必要になるのですか?

A222 認定を受けていた会社の後継者が合併で存続する会社の代表者である必要があります。このとき,一定の場合を除き代表権に制限が加えられている場合は除かれます。
また,合併により存続する会社が,合併の対価として株式以外の財産を交付した場合にも効力を承継することができません。ただし,合併比率を調整する合併交付金や合併に反対の株主からの株式買取請求を受けた場合の金銭の交付は除かれます。
そして,認定を受けていた会社の後継者とその同族関係者とが合併によって存続する会社の株式の50%を超える割合の株式を保有し,後継者が筆頭株主である必要があります。
さらに,存続会社が上場会社,資産保有会社や風俗営業会社でないこと,存続会社の特別子会社が風俗営業会社でないことも要件となります。

Q223 株式交換や株式移転により認定会社を完全子会社化した場合に,完全親会社が認定の効力を承継することができるのでしょうか。

A223 できる場合があります。
認定を受けていた会社の後継者が完全親会社の代表者である必要があります。このとき,一定の場合を除き代表権に制限が加えられている場合は除かれます。
また,完全親会社が株式以外の財産を交付した場合にも効力を承継することができません。ただし,後継者に剰余金の配当等として交付される金銭その他の資産,反対株主からの株式買取請求を受けた場合の金銭の交付は除かれます。
そして,認定を受けていた会社の後継者とその同族関係者とが完全親会社の株式の50%を超える割合の株式を保有し,後継者が筆頭株主である必要があります。
さらに,完全親会社が上場会社,資産保有会社や風俗営業会社でないこと,完全親会社の特別子会社が風俗営業会社でないことも要件となります。

NPO法人近畿遺言相続サポートセンター トップ当法人のご紹介よくある相談事例セミナー情報メンバー紹介リンク集プライバシーポリシーお問い合わせ

Copyright c 2011-2012 Kinki Testament & Inheritance Support Center All Rights Reserved.