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相続税

Q224 相続税とは,どのような税金ですか?

A224 相続税は,相続,遺贈,死因贈与によって財産を取得した場合に,その財産に対して課せられる税金です。死亡保険金などは受取人が相続人となっているときには,本来相続財産ではありませんが,みなし相続財産として相続税の課税の対象となりますし,相続開始3年以内の贈与があった場合には,相続財産に加算されることになります。
   他方,借金などの被相続人の債務や葬儀費用,非課税の財産については,課税対象となる財産を算出する際に控除されます。
また相続税には,基礎控除,配偶者に対する税額軽減措置,小規模宅地等の特例など様々な控除があります。

Q225 相続税はどのような財産にかかってくるのですか?

A225 経済的価値がある,ありとあらゆる財産にかかってくると考えてよいです。
むしろ,相続税がかからない財産を覚えておき,それ以外の財産にはかかってくるものと考えておけばよいでしょう。
相続税がかからない財産には,以下のものがあります。
Ⅰ 墓地・墓石,仏壇,仏具,神棚等
Ⅱ 一定の社会福祉事業,更正保護事業,学校を運営する者,宗教,慈善,学術を目的とする事業などを行う者が相続または遺贈により取得した財産。ただし,相続または遺贈によって取得してから2年を経過した日までに公益事業に用いてない場合は除かれます。
Ⅲ 心身障害者に対し,地方公共団体が実施する共済の受給
Ⅳ 相続人が受取った生命保険金の一定額
  非課税となる額は総額で500万円×法定相続人の数となります。
Ⅴ 相続人が受取った退職金の一定額
  非課税となる額は総額で500万円×法定相続人の数となります。
Ⅵ 国や地方公共団体,特定の公益団体などに寄付した財産
  相続税の申告期限までに寄付する必要があります。
Ⅶ 特定の公益信託の信託財産に支出した金銭
  相続税の申告期限までに支出する必要があります。

Q226 本来は相続財産ではないが,相続税の課税の対象となる財産にはどのようなものがあるのですか?

A226 本来は相続財産ではないが,相続税の課税の対象となる財産のことをみなし相続財産といいます。
みなし相続財産には,相続または遺贈により取得したとみなされるもの,遺贈により取得したとみなされるもの,贈与または遺贈により取得したとみなされるものがあります。

Q227 相続または遺贈により取得したとみなされるものにはどのようなものがあるのですか?

A227 相続または遺贈により取得したとみなされるものにはおもに以下のとおりです。
Ⅰ 生命保険契約の保険金または損害保険契約の死亡保険金
  ただし,被相続人が負担した保険料の額に対応する部分に限る
Ⅱ 被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金,功労金など
Ⅲ 被相続人の死亡のとき,まだ保険事故が発生していないもので,被相続人以外の者がその契約者である生命保険契約について,相続開始までに払い込まれた保険料のうち,被相続人が負担した割合に相当する部分
Ⅳ 被相続人の死亡のとき,まだ定期金給付事由が発生していない定期金給付契約で,被相続人が掛金や保険料を負担し,被相続人以外の者が契約者であるもののうち,被相続人が負担した割合に相当する部分
Ⅴ 定期金給付契約で,定期金受取人に対し,生存中または一定期間定期金を給付し,その者が死亡したときは,遺族などに定期金や一時金を給付するといったものに関する権利のうち,被相続人が負担した保険料の額に相当する部分
Ⅵ 被相続人の死亡により,相続人その他の者が取得した定期金に関する受給権で,契約に基づかないもの

Q228 遺贈により取得したとみなされるものにはどのようなものがありますか?

A228 相続人不存在のときに,民法の規定により取得することになる特別縁故者への相続財産の分与がこれにあたります。

Q229 贈与または遺贈により取得したとみなされるものにはどのようなものがありますか?

A229 贈与または遺贈により取得したとみなされるものは以下のとおりです。
Ⅰ 遺言によってなされた信託行為に基づく信託受益権
Ⅱ 遺言により著しく低い価額で財産の譲渡がなされた場合の,対価と時価の差額
Ⅲ 遺言により債務の免除や弁済などがなされた場合,その免除や弁済による利益

Q230 相続税を算出する場合の課税対象となる財産から,被相続人の負債は控除されるのですか?

A230 被相続人の債務は,相続開始のときに現に存在する額について,相続税の課税価格を計算するにあたり控除することができます。
控除の対象となる債務とは,住宅ローンや自動車ローンなどに加えて,被相続人が残した所得税,地方税,固定資産税等の公租公課も含まれます。

Q231 相続税を算出する場合の課税対象となる財産から控除される負債には,被相続人の保証債務も含まれますか?

A231 主たる債務者が自己破産をした場合など弁済することができないことが明白な場合には控除の対象となりますが,主たる債務者が弁済を継続しているような場合には控除の対象とはなりません。

Q232 被相続人の葬儀費用については,相続税を算出する場合の課税対象となる財産から控除されますか?

A232 控除されます。 葬儀費用は,厳密には被相続人の負債ではありません。しかし,相続人が当然負担する費用ですので,被相続人の債務とあわせ控除の対象とされているのです。

Q233 控除される葬儀費用には,どの範囲のものまで含まれるのですか?

A233 以下のものは葬儀費用に含まれます。
Ⅰ 埋葬,火葬,納骨,遺骸の回送などに要した費用
Ⅱ 葬式に際し施与した金品
香典返し,墓碑・墓地の購入費などは含まれません。
Ⅲ 葬式の前後に発生した出費で通常葬式に伴うと認められるもの
法会に要する費用は含まれません。
Ⅳ 死体の捜索,または遺骨・死体の運搬にかかった費用
医学上・裁判上の特別の処置にかかった費用は含まれません。

Q234 遺言執行人に対する報酬やその他の遺言執行に要した費用は,相続税を算出する場合の課税対象となる財産から控除されますか?

A234 控除されません。
相続財産の中から支払われるものについては控除の対象とはなりません。

Q235 被相続人の債務や葬儀費用などを相続税を算出する場合の課税対象となる財産から控除することは,誰でも認められるのですか?

A235 相続人と包括受遺者に限られ,特定受遺者は控除を受けることができません。
ただし,国外に住所がある制限納税義務者については,控除できる債務の範囲が取得する財産にかかる公租公課や取得する財産に設定された抵当権などで担保されている債務などに限定されますし,葬儀費用の控除を受けることができません。

Q236 相続税には,さまざまな税額控除があると聞きましたが,どような税額控除があるのですか?

A236 相続税額から控除を受けることができるものは,以下のとおり6つあります。
贈与税額控除
配偶者に対する相続税額の軽減
未成年者控除
障害者控除
相次相続控除
外国税額控除

Q237 贈与税額控除とはどのようなものですか?

A237 相続開始前3年以内に贈与した財産は相続税の課税対象となります。
他方,このような贈与も贈与受けた時点で贈与税が課されることになります。
この結果,相続税と贈与税が二重に課せられるということになってしまいます。
このような二重課税を調整するために,既に納めた贈与税額を相続税から控除されることになるのです。

Q238 配偶者に対する相続税額の軽減措置とはどのようなものですか?

A238 配偶者の法定相続分または1億6000万円のいずれか大きい金額の範囲内の財産取得であれば相続税がかからないというものです。 なお,配偶者の税額軽減額は以下の計算式によって算出された額のいずれか低い金額となります。ここで,申告期限までに未分割の財産がある場合には,その未分割の財産は課税価格の基礎となる財産に含まれないことに注意が必要です。また,配偶者の法定相続分とは,相続放棄がされていても放棄がなかったものとして算出されます。
Ⅰ 相続税の総額×課税価格の合計額のうち配偶者の法定相続分相当額(1億6000万円に満たない場合には1億6000万円)÷課税価格の合計額
Ⅱ 相続税の総額×配偶者の相続税の課税価格÷課税価格の合計額

Q239 未成年者に対する相続税額の軽減措置とはどのようなものですか?

A239 未成年者である法定相続人が相続や遺贈により財産を取得したときに受けられる税額の控除です。控除の金額は以下の方法で算出されます。 (20歳-相続開始時の年齢)×6万円

Q240 障害者に対する相続税額の軽減措置とはどのようなものですか?

A240 傷害者である法定相続人が相続や遺贈により財産を取得したときに受けられる税額の控除です。一般障害者と特別障害者とで控除される額に相違があります。なお,ここで特別障害者とは,心神喪失の常況にある,障害の程度が1級または2級と認定されたなどの者です。
一般障害者と特別障害者が控除される税額は以下の方法で算出されます。
一般障害者
(70歳-相続開始時の年齢)×6万円
特別障害者
(70歳-相続開始時の年齢)×12万円

Q241 相次相続控除とはどのような内容のものですか?

A241 相次相続控除とは,10年以内に2回以上の相続が合った場合に,前の相続において課税された相続税額のうち,一定金額を1年につき10%の割合で逓減させた額を後の相続税から控除するというものです。

Q242 外国税額控除とはどのような内容のものですか?

A242 海外にある財産を日本にいる者が相続すると,財産の所在地国と日本とで二重に課税されることがあります。この場合に,財産所在地国で相続税に相当する税が課された場合に,外国税額を日本の相続税額から控除するものです。     ただし,控除される外国税額は以下の計算式で算出される額を限度とします。
    外国税額控除前の相続税額×(当該国外に所在する財産の価格÷課税価格計算の基礎に算入された部分の金額)

Q243 小規模宅地などには相続税の減税措置が行われると聞いたことがあるのですが,どのような減税措置なのですか?

A243 一定の宅地や事業用地などについて,一定面積までの部分に限り,通常の評価額から一定の割合を乗じた分を減額するという減税措置がなされ,小規模宅地等の評価減の特例と言われています。
住宅や事業用の土地などは,生活や事業の基盤となるもので,処分することが困難です。相続税においては,このような事情を考慮して特別の減税措置がとられているわけです。
被相続人と相続人にそれぞれ条件が定められており,いずれの要件もみたしておれば一定の面積について80%減の評価となり,被相続人に関する要件のみみたしている場合には,一定の面積について50%減の評価となるのです。

Q244 小規模宅地等の評価減の特例は,どのような土地に適用されるのですか?

A244 以下のものがあります。
特定住居用宅地
特定事業用宅地
国営事業用宅地
特定同族会社事業用宅地
その他の宅地

Q245 特定居住用宅地の評価減の特例は,どのような場合に適用されるのですか?

A245 特定住居宅地については,被相続人の居住用宅地と生計を一にする親族の居住用宅地に別れます。
被相続人の居住用宅地を配偶者が取得した場合,無条件で適用を受けることができます。
被相続人の居住用宅地を被相続人と同居していた親族が取得した場合,取得者が引き続き居住し,相続税の申告期限まで保有している場合に適用を受けることができます。
被相続人の居住用宅地を被相続人と同居していない親族が取得した場合,相続税の申告期限まで保有している場合に適用を受けることができます。
生計を一にする親族の居住用宅地を配偶者が取得した場合,無条件で適用を受けることができます。
生計を一にする親族の居住用宅地を生計を一にし同居していた親族が取得した場合,取得者が引き続き居住し,相続税の申告期限まで保有している場合に適用を受けることができます。
上記の各場合については相続した宅地について,240㎡までの部分につき80%減の評価を行うことになります。

Q246 事業用宅地の評価減の特例は,どのような場合に適用されるのですか?

A246 特定事業宅地(不動産貸付業は除かれます。)と個人で不動産貸付業を行っている場合の貸付用宅地に分けることができます。
特定事業宅地で被相続人の事業用宅地の場合には,事業を承継する親族が取得し,取得者が事業を承継して営業し,相続税の申告期限まで保有している場合に適用されます。
特定事業宅地で被相続人と生計を一にする親族の事業用宅地の場合には,その事業を行っていた親族が取得し,取得者が引き続き事業を営業し,相続税の申告期限まで保有している場合に適用されます。
上記の各場合については相続した宅地について,400㎡までの部分につき80%減の評価を行うことになります。

Q247  特定同族会社事業宅地の評価減の特例は,どのような場合に適用されるのですか?

A247 特定同族会社事業宅地(不動産貸付業は除かれます。)は,被相続人または被相続人と生計を一にする親族が株式,出資の50%以上を所有する法人の事業用宅地の場合,役員である親族が取得し,当該法人が引き続き事業を営業し,相続税の申告期限まで保有している場合に適用されます。

Q248 国営事業用宅地の評価減の特例は,どのような場合に適用されるのですか?

A248 国営事業用宅地とは,特定郵便局を指します。
この国営事業用宅地については,親族が取得した場合,相続開始後5年以上借受ける見込がある場合に,400㎡までの部分につき80%減の評価を行うことになります。
また,親族以外の者,相続開始後5年以上借受ける見込がない場合にも,200㎡までの部分につき50%減の評価を行うことになります。

Q249 その他の宅地について,評価減の特例はどのような場合に適用されるのですか?

A249 居住用の宅地や,個人で不動産貸付業を行っている場合の貸付用宅地は,無条件で200㎡まで50%減の評価を行うことになります。

Q250 私は,父が亡くなる2年前に贈与をうけました。私が2年前に贈与された財産も相続税の対象になるのでしょうか?

A250 相続税の対象となります。 相続や遺贈で財産を取得した者が,相続開始前3年以内に被相続人から財産を贈与された場合には,その贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算した上で,相続税の総額や各相続人の相続税額を計算することになります。

Q251 私は,父が亡くなる2年前に贈与を受け,贈与税についても納税しています。この場合,贈与税を納税した上で,さらに相続税も納税することになるのですか?

A251 相続開始前3年以内に被相続人から財産を贈与された場合には,その贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算した上で,相続税の総額や各相続人の相続税額を計算することになるのですが,相続税を納める際には,既に納めた贈与税分は差し引かれることになります。

Q252 私は,父が亡くなる半年前に贈与を受けました。このとき,贈与税と相続税の関係を教えてください。

A252 相続開始の年に行われた贈与は,贈与税の課税対象とはならず,最初から相続税の課税対象となります。 ですから,相続税のみを納めることになるのです。

Q253 私は,夫から贈与を受けたのですが,その贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算する必要があるのでしょうか?

A253 配偶者への贈与は,贈与財産の価額が2000万円までについては配偶者控除を受けることができます。
この配偶者控除を受けた場合,控除額については続税の課税価格に加算する必要がありません。

Q254 私は,2年前,父から100万円相当の骨董品を贈与されました。この場合に贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算する必要があるのでしょうか?

A254 年間110万円以下の贈与については,基礎控除があり贈与税が課税されません。 ところが,基礎控除は,配偶者控除とは異なり,相続税においては課税価格に加算する必要があるのです。

Q255 私は,息子と相談した上,いずれ孫に財産が引き継がれていくことになるので,孫に相続させようと思います。この場合の相続税はどのようになるのでしょうか?

A255 通常の相続税額に2割加算された額が相続税額となります。     これを一般的に,相続税の2割加算といいます。 通常では,親から子へ,子から孫へ相続することになり,2度の相続税を納めることになります。ところが,2度の相続税納税を避けるために,孫に直接相続させた場合には,2割を加算することで,一応の相続税回避の対策をとっているわけです。

Q256 私は,相続税の2割加算を回避するために,孫を養子にしようと思っています。孫を養子にすれば相続税の2割加算を回避することができますか?

A256 できません。平成15年から孫を養子にした場合であっても相続税の2割加算が適用されるようになりました。

Q257 父が亡くなり,そのあと祖父もなくなりました。私は,祖父の代襲相続人ですが,代襲相続の場合にも,相続税の2割加算の適用があるのですか?

A257 代襲相続の場合には,相続税の2割加算の適用はありません。
相続税の2割加算は,あくまで2度の相続税納税を避けるために設けられた制度です。ですから,相続税回避にあたらない代襲相続の場合には適用がありません。

Q258 私は,遺言で兄弟に財産を遺贈しようと思っています。この場合の相続税がどのようになるか教えてください。

A258 兄弟姉妹への遺贈は,相続税の2割加算の適用があり,子や一子等親族(子や両親,代襲相続人を含みます。)への相続より相続税額が高くなります。

Q259 相続税額の2割加算は,常に算出された相続税に2割上乗せすることになるのですか?

A259 相続税の2割加算が適用される場合の納税額は,その人の算出税額の120%,あるいはその人の相続税の課税価格の70%のいずれか低い額となります。

Q260 生前の贈与を相続と一体としてとらえ,相続時の納税の際に考慮される制度があると聞きましたが,どのような制度なのか説明してください。

A260 生前の贈与を相続と一体としてとらえ,贈与については贈与を累計した額が一定の控除枠を超える部分について,一律20%の贈与税を支払っておき,相続時に贈与済み財産と相続財産とを合算して最終的に精算する,つまり支払済みの贈与税は,相続税の前払いとして相続税から控除され,払いすぎた贈与税は還付されるという制度です。

この制度のことを,相続時精算課税制度といいます。

Q261 私は,息子に贈与することを考えていますが,相続時精算課税制度の適用を受けるにはどのような条件が必要となりますか?

A261 贈与する方が,贈与をした年の1月1日現在で65歳以上であることが必要です。また,贈与を受けられる方が,直径卑属の推定相続人であり,贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上であることが必要になります。

Q262 相続時精算課税制度の適用を受けるには,何らかの手続を行う必要があるのですか?

A262 相続時精算課税制度の適用を受けるには,贈与を受けた年の翌年3月15日までに税務署に届出書を提出する必要があります。
そして,一度届出書を提出しますと相続時まで継続適用となり,取消すことができませんので注意が必要です。

Q263 私は,息子に贈与するにあたり相続時精算課税制度の適用を受けることを考えていますが,夫は,同じ息子に贈与する際,同制度の適用を考えていません。このようなことが認められますか?

A263 相続時精算課税制度は,贈与を受ける方が同じでも,贈与する方ごとに制度を適用するかどうか決定することができます。
ですから,母からの贈与については相続時精算課税制度の適用を受けるが,父からの贈与については相続時精算課税制度の適用を受けないという選択も可能なのです。

Q264 相続時精算課税制度の適用を受けた場合には,特別の控除が受けられると聞きましたが,その内容を教えてください。

A264 特定の贈与者からの生前贈与の累計額が2500万円の範囲であれば贈与税が課せられることありません。 相続時精算課税制度の適用を受けた場合の特別控除額は,2500万円(既に特別控除の適用を受けて控除した金額がある場合には,その金額の合計額を控除した金額となります。),あるいは特定贈与者ごとの贈与税の課税価格の低い金額となります。ですから,累計額が2500万円以内の生前贈与については贈与税が課せられないのです。

Q265 相続税に比べて生前贈与の税率は高いとききますが,相続時精算課税制度の適用を受けた場合には,贈与の税率が一律20%となるのですか?

A265 なります。
贈与税は,相続税と比較して累進税率の増加が大きくなっています。ですから,ある程度の財産を贈与すれば,贈与税が相続税をはるかに上回ることになるのです。
相続時精算課税制度は,相続税の仮払いのような制度ですので,贈与の際には20%を仮払いしておくという理解でよいのです。
贈与者が死亡した場合には,贈与財産の価額は相続税の課税価格に加算され,相続税が算出されます。そして,贈与の際に支払った贈与税がある場合には,その金額を控除した金額が納付すべき相続税の額となり,仮に払い過ぎになっている場合には還付を受けることができるのです。

Q266 相続税を算出する基礎となる相続財産の評価はどのように行えばよいのですか?

A266 相続財産の評価は,相続税法によって定められています。
財産の評価が恣意的に行われると,課税の公平性や信頼性が損なわれることになります。このようなことにならないように,相続税法は,相続財産の評価方法を定めているのです。

Q267 宅地の評価はどのように行われるのですか?

A267 宅地の評価は,通達により,市街地を形成している地域の宅地については路線価方式により,それ以外の地域にある宅地については倍率方式で行うことになっています。
ここで,路線価方式とは,国税局が路線ごとに競っている路線価をもとに奥行価格補正など一定の調整を施し,評価対象となる画地の地積を乗じた金額によって宅地を評価する方式をいいます。
他方,倍率方式とは,固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算した金額により宅地を評価する方式をいいます。
なお,ある土地が路線方式で評価されているのか,倍率方式評価されているのかは,税務署に備えてある財産評価基準書により確認できます。

Q268 路線価は,どのようにして確認することができるのですか?

A268 路線価は,税務署に備えられている路線価図を見れば確認できます。
路線価図は,1㎡あたりの評価額を1000円単位で示されており,一方のみが路線に接する標準的な間口や奥行の宅地であれば,この路線価に地積を掛けることで評価額を割出すことができます。

Q269 路線価図には様々な数字やアルファベットが記載されていますが,どのように見ればよいのですか?

A269 ⑮,⑳等の○で囲まれた数字は街区番号を示します。
(15),(20)等の括弧で囲まれた数字は住居表示を示しています。
15,20等の裸で記載された数字は登記簿上の地番を示します。
路線常に記載された数字が路線価で,1㎡あたりの評価額を千円単位で記載されています。なお,路線価が裸で記載されている場合は普通住宅地区であることを示しており,様々な記号の中に数字が記載されている場合には路線価図の上部に示された,それぞれの地区であることを示しています。
路線価のとなりにアルファベットで記載されたものは借地権割合を示し,以下のとおりとなっています。
A=90%
B=80%
C=70%
D=60%
E=50%
F=40%
G=30%
なお,大阪府下の借家権は,取引の慣行があるものについては,建物価格の30%で評価されます。
路線価図の例については,トップページの路線価図例を参照してください。

Q270 相続財産である宅地は,路線価に地積を掛けた金額により,一律に決定されているのですか?

A270 路線価は,路線に一方のみが接する標準的な奥行距離と間口距離の宅地を前提としています。ところが,現実の土地は,様々な形状をしているものです。土地の評価についても,このような現実の土地形状を考慮して評価する必要があり,さまざまな補正が行われます。補正される事情には以下のものがあります。
奥行価格補正
側方路線影響加算
二方路線影響加算
間口狭小補正
奥行長大補正
がけ地補正
不整形地補正

Q271 奥行価格補正とはどのような補正なのですか?

A271 奥行の深い土地は,一般的に奥行きの浅い土地より使い勝手が悪くなるので評価が下がります。また,奥行が浅すぎる土地についても,同様に使い勝手が悪くなるので評価が下がります。
以上のような事情を考慮して,道路からの奥行距離に応じて地区区分ごとに奥行価格補正率が定められているのです。奥行補正率についてはトップページの「補正率表を参照してください。

Q272 側方路線影響加算とは,どのような内容の補正ですか?

A272 正面と側方に道路が面している宅地は,正面だけが道路に面している宅地よりも評価が高くなります。このような事情を考慮するのが側方路線影響加算です。
具体的には,以下のⅰにⅱの加算額を合計した価格となります。
Ⅰ 正面路線価×奥行価格補正率
Ⅱ 側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率
なお,正面路線価は,2つの路線価にそれぞれの奥行価格補正率を乗じた価格の高い方となります。 側方路線影響加算率についてはトップページの「補正率表を参照してください。

Q273 二方路線影響加算とは,どのような内容の補正ですか?

A273 2つの道路にはさまった宅地は,1つの道路に面している宅地より評価が高くなります。このような事情を考慮するのが二方路線影響加算です。
具体的には,以下のⅰにⅱの加算額を合計した価格となります。
Ⅰ 正面路線価×奥行価格補正率
Ⅱ 裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算率
二方路線影響加算率についてはトップページの「補正率表を参照してください。

Q274 間口狭小補正とは,どのような内容の補正ですか?

A274 間口の狭い宅地は,間口の広い宅地と比較して使い勝手が悪いため,宅地の評価が下がります。具体的には,路線価に,奥行価格補正率を掛け,さらに間口距離に応じた間口狭小率を掛けた金額となります。    間口狭小率についてはトップページの「補正率表を参照してください。 

Q275 奥行長大補正とは,どのような内容の補正ですか?

A275 奥行距離が間口距離に対して2倍ないし3倍以上になる場合には,路線価に奥行価格補正率を掛け,さらに奥行長大補正率を掛けます。    奥行価格補正率についてはトップページの「補正率表を参照してください。

Q276 がけ地補正とは,どのような内容の補正ですか?

A276 がけ地がある場合には,路線価に,奥行価格補正率を掛け,さらにがけ地補正率を掛けます。 がけ地補正率についてはトップページの「補正率表を参照してください。

Q277 不整形地補正とは,どのような内容の補正ですか?

A277 不整形地は,整形地い比べ利用価値が劣りますので,不整形の程度や地積の大小に応じて補正を行うことになります。

Q278 倍率方式はどのような場合に適用されるのですか?

A278 農地や畑,山林,路線価の付いていない地域にある宅地に対し倍率方式が採用されます。 倍率方式による評価は,固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて算出することになります。なお,倍率については,地域ごとに定められており,税務署で確認することができます。

Q279 父は土地を貸していて,賃借人が建物を建てて住んでいます。このときの土地の評価はどのようにされるのですか?

A279 自用宅地の評価額から借地権の価格を差し引いた金額で評価されます。
ここで,借地権の価格は,国税局が定める借地権割合により算定されます。借地権割合は,路線価図の路線価の後に記載されているアルファベッドにより確認することができます。

Q280 家屋の相続税評価はどのようにして算出されるのですか?

A280 家屋については,固定資産評価額×倍率で定められることになっていますが,現在倍率は1.0とされていますので,固定資産評価額が相続税評価額となっています。

Q281 賃貸している家屋についても,相続税評価の際に同様に評価されるのでしょうか?

A281 賃貸している家屋については,自用家屋の評価額から借家権価格を控除することになります。ここで,借家権価格は,建物の価格の30%とされています。なお,関西の一部の地域では40%とされています。

Q282 一棟の建物のうち一部を自用とし,残りを賃貸している場合についてはどのように評価するのですか?

A282 このような場合,建物の固定資産税評価額を自用部分と賃貸部分の面積に応じて按分し,それぞれの評価とします。

Q283 家屋に設置している空調,電気,ガス等の設備についてはどのように評価されるのですか?

A283 これらは家屋と構造上一体となっている付随設備と言えますので,家屋とは別に評価することはありません。

Q284 住居の敷地にある門や塀,庭園設備については,どのように評価されるのですか?

A284 門や塀,庭園設備については家屋の評価の中には含まれていないので家屋とは別に評価されます。
評価の方法は,相続開始時に,その財産を新たに建築するのに要する費用に対し,経過年数による減価償却費を控除した残額をもとに,家屋の価額との均衡を考慮して評価することになります。

Q285 庭にある庭木や庭石はどのように評価されるのですか?

A285 庭木や庭石などの庭園設備は,相続開始時に新たに購入するために要する費用の70%とされています。

Q286 父は,地主から土地を借り,建物を所有していました。この建物の評価はどのようになりますか?

A286 質問のような建物は,借地権付建物ということになり,借地権の評価額と建物の評価額の合算額となります。ただし,借地権の評価額については,賃借権譲渡事例等がない場合には建物のみの評価となります。 建物の評価額は固定資産税評価額となり,借地権の評価額は路線価図の路線価の後に記載されているアルファベッドにより確認することができます。

Q287 父は土地建物を所有しており,それを第三者に賃貸していました。このような土地の評価はどのようになりますか?

A287 質問のような土地のことを貸家建付地といいます。
貸家建付地の評価は,以下の計算式により算出します。 自用地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合)

Q288 父は土地建物所有しており,それを第三者に賃貸していました。このような建物の評価はどのようになりますか?

A288 借家の評価は,自用家屋の評価額から借家権の評価額から差し引いた金額となります。
建物の評価額は固定資産税評価額となり,借家権割合は大阪府下の場合,一部の地域を除き30%で評価されることになります。

Q289 上場株式の評価はどのような方法で行われるのですか?

A289 上場株式の評価は,原則として,その株式が上場されている証券取引所が公表するⅰ~ⅳの金額のうち,最も低い価額となります。なお,2以上の証券取引所に上場している場合には,本店の最寄りの取引所になります。
Ⅰ 相続開始日の最終価格
Ⅱ 相続開始日の属する月の終値の月平均
Ⅲ 相続開始日の属する月の前月の終値の月平均
Ⅳ 相続開始日の属する月の前々月の終値の月平均

Q290 店頭管理銘柄の株式の評価についてはどのような方法で行われるのですか?

A290 店頭管理銘柄の株式については,ⅰ~ⅳの金額のうち,最も低い価額となります。
Ⅰ 相続開始日の最終価格
Ⅱ 相続開始日の属する月の月平均
Ⅲ 相続開始日の属する月の前月の毎日の取引価格の月平均
Ⅳ 相続開始日の属する月の前々月の毎日の取引価格の月平均

Q291 公開途上の株式についてはどのように評価されるのですか?

A291 未だ公開途上にある株式については,株式公開時の公開価格によって評価されます。

Q292 証券取引所や店頭管理されておらず,公開途上にもない株式についてはどのように評価すればよいのですか?

A292 質問のような株式のことを取引相場のない株式といいます。
取引相場のない株式については,通達により評価の方法が詳細に定められています。
通達では,株式を取得する者の属性(同族株主か否か,持株割合が15%以上のグループに属するか否か,取得後の持株割合が5%以上か否か,中心的な同族株主か否か,中心的な株主か否か,役員か否かなど),株式を発行する会社が土地保有特定会社や株式保有特定会社などに該当するか否か,会社の規模などにより適用する評価方法がことなります。
ちなみに,株式の評価方法には,配当還元方式,類似業種比準方式,純資産方式,類似業種比準方式と純資産方式を一定のウエイトで併用する方式があります。

Q293 株主の属性について,同族株主とはどのような株主のことをいうのですか?

A293 同族株主とは,課税時期(相続開始の日)における評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の30%以上(株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が50%超である場合には,50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいいます。

Q294 株主の属性について,中心的な同族株主とはどのような株主のことをいうのですか?

A294 中心的な同族株主とは,同族会社の一人ならびにその株主の配偶者,直系血族などの株式が25%以上である場合,その株主のことをいいます。

Q295 株主の属性について,中心的な株主とはどのような株主のことをいうのですか?

A295 中心的な株主とは,株主の1人およびその同族関係者の株式が15%以上であるグループのうち,いずれかのグループに単独で10%以上の株式を有する株主がいる場合,その株主のことをいいます。

Q296 株主の属性によって株式の評価方法に違いがあると聞いたのですが,せつめいしてください。

A296 取引相場のない株式の評価方法には,原則的評価方式と例外的評価方式があります。なお,例外的評価方式とは,配当還元方式によります(原則的評価方式による評価の方が低い場合は原則的評価方法によります。) そして,まず,株主の属性により原則的評価方式を採用するのか,例外的評価方式を採用するのかを決定することになるのです。
同族株主のいる会社で同族株主でない場合には,その株主の株式の評価は例外的評価方式によることになります。
同族株主のいる会社で同族株主であっても,取得後の持株割合が5%未満で,中心的な同族株主が存在し,中心的同族株主あるいは役員に該当しない方の株式についても例外的評価方式によることになります。
同族株主がいない会社で持株割合が15%以上のグループに属していないのであれば,例外的評価方式によることになります。
同族株主がいない会社で持株割合が15%以上のグループに属していても,取得後の持株割合が5%未満で,中心的な同族株主が存在し,役員に該当しない方の株式についても例外的評価方式によることになります。 以上の場合以外は,原則的評価方式により評価することになります。

Q297 原則的評価方式とはどのように株式を評価するのですか?

A297 原則的評価方式は,一般の評価会社と特定の評価会社に区別され,評価方式が異なります。
そして,一般の評価会社においても,大会社,中会社,小会社に区別され,評価方式が異なります。
大会社の場合には類似業種比準方式により,中会社の場合には類似業種比準方式と純資産価額方式を一定のウエイトで併用し,小会社の場合には純資産価額方式によることになります。 特定評価会社は,純資産価額方式により株式を評価します。

Q298 大会社の株式について,類似業種比準方式により評価する具体的な方法について説明してください。

A298 類似業種比準方式は,類似業種の株価を基に,評価する会社の一株当たりの配当金額,利益金額及び純資産価額の三つで比準して評価します。なお,類似業種の株価はトップページを参照してください。

Q299 小会社の株式について,純資産価額方式により評価する具体的な方法について説明してください。

A299 純資産価額方式は,会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて,その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価します。

Q300 中会社の株式の評価について,中会社の場合には類似業種比準方式と純資産価額方式を一定のウエイトで併用するそうですが,具体的にはどのような方法で評価されるのですか?

A300 中会社の株式は,以下の計算式で算出します。
類似業種比準価額×L+1株あたりの純資産価額×(1-L)
ここで,「L」の数値は通達で定められており,以下の基準に表に基づいて定められています。

Q301 例外的評価方式が採用される場合,配当還元方式により株式が評価されますが,具体的にはどのように算出することになるのですか?

A301 配当還元方式では次の計算式により株式が評価されます。
年配当金額/10% ×一株あたりの資本金額/50円 なお,無配の場合には2円50銭として評価します。

Q302 非上場の同族会社株式の相続税の軽減措置があると聞いたのですが,どのような場合に軽減措置を受けることができるのですか?

A302 相続税の軽減措置の特例を適用するためには,次の要件が必要になります。
Ⅰ 同族会社の発行済株式などの総額が相続税評価基準で20億円未満であること。
Ⅱ 被相続人など6親等内同族関係者がその同族会社の発行済株式などの総数の50%以上を保有していること。
Ⅲ 相続人が引き続きその同族会社の株式などを50%以上保有していること。
Ⅳ その被相続人が,現在その会社の役員として経営に参加していること。

Q303 非上場の同族会社株式の相続税の軽減措置による減税効果どのような内容ですか?

A303 発行済株式などの総数の3分の2以内で,相続税評価額10億円以下の部分について,相続税の課税価格を10%軽減することができるというものです。 >

Q304 非上場の同族会社株式の相続税の軽減措置は,小規模宅地などの軽減措置と併用することができると聞きましたが,その内容を説明してください。

A304 非上場の同族会社株式の相続税の軽減措置を基本とする方法と小規模宅地などの軽減措置を基本とする方法の2通りあります。
非上場の同族会社株式の相続税の軽減措置を基本とする場合,その上限(発行済株式価額で10億円)に満たない場合,その上限に満たない部分の割合を減として,小規模宅地等の特例を利用することができます。仮に,同族会社株式の価額が7億円であれば,3億円に相当する部分につき小規模宅地などの軽減措置の特例を用いることができるのです。
小規模宅地などの軽減措置を基本とする場合,その限度(居住用であれば240㎡)に満たない面積の割合を上限として,非上場の同族会社株式の相続税の軽減措置を適用することができます。仮に,小規模宅地などの軽減措置を適用する宅地の面積が100㎡である場合,140㎡に相当する価額分につき株式につき非上場の同族会社株式の相続税の軽減措置を適用することができます。

Q305 公社債はどのように評価されるのですか?

A305 公社債には,利付公社債,割引債,転換社債があります。
利付公社債は,発行価額に利払期未到来の既経過分利息(源泉徴収税額相当額は控除)を加算した金額となります。
割引債は,発行価額に既経過償還差益の額となります。
転換社債は,利付公社債に準じます。ただし,株式の価額が転換価格を超える場合は市場価格などによります。
なお,上記の公社債が上場されている場合には,市場価格に基づいた評価額といずれか低い方を採用することになります。

Q306 貸付信託の受益証券はどのように評価されるのですか?

A306 元本の額に既経過収益額(源泉徴収税額相当額は控除)を加算し,買取割引額を差引いた価額となります。

Q307 預貯金はどのように評価されるのですか?

A307 預入残高に既経過利息額(源泉徴収税額相当額は控除)を加算した価額となります。 なお,定期預金,定期郵便貯金,定額郵便貯金以外で利子が少額の場合は加算しません。

Q308 貸付金,売掛金,仮払金などの貸付金債権はどのように評価されるのですか?

A308 元本に既経過利息額を加算した価額となります。 ただし,回収不可能などの場合には,その部分を減額することになります。

Q309 受取手形はどのように評価するのですか?

A309 支払期限到来のもの,課税時期から6ヶ月以内に到来するものについては券面額を評価額とします。 上記以外のものについては,課税時期において割引したときに回収できると認める金額をもって評価額とします。

Q310 車や機械などの動産についてはどのように評価するのですか?

A310 調達価額,あるいは新品小売価額から減価償却費を差引いた価額となります。

Q311 商品,製品,生産品についてはどのように評価するのですか?

A311 販売価額から適正利潤,予定経費,消費税額を差引いた価額が評価額となります。

Q312 原材料についてはどのように評価するのですか?

A312 仕入価額に引取運賃などの経費を加算した価額が評価額となります。

Q313 半製品,仕掛品についてはどのように評価するのですか?

A313 原材料の仕入価額に引取り,加工などにかかった運賃・加工費などの経費を加算した価額が評価額となります。

Q314 特許権,実用新案権,意匠権,商標権についてはどのように評価されるのですか?

A314 将来受けるライセンス料の金額の基準年利率による複利現価の合計額となります。

Q315 著作権についてはどのように評価するのですか?

A315 年平均印税収入の額に0.5を乗じ,さらに評価倍率を乗じます。

Q316 電話加入権についてはどのように評価するのですか?

A316 取引相場のあるものについては通常の取引価額,取引相場のないものについては局ごとの標準価額によることになります。

Q317 営業権についてはどのように評価するのですか?

A317 年超過利益額の複利年金現価(基準年利率による複利年金現価率)と前年所得額(著名なものはその3倍の金額)とのいずれか低い額となります。     ただし,平均利益金額200万円未満,開業後10年未満,自由業の営業権などは評価しません。

Q318 ゴルフ会員権についてはどのように評価するのですか?

A318 取引相場のあるものについては,課税時期における通常の取引価格の70%となります。

Q319 生命保険契約に関する権利についてはどのように評価するのですか?

A319 解約返戻金相当額となります。

Q320 年金形式で支払われる保険金や共済金などの定期金に関する権利はどのように評価するのですか?

A320 定期金に関する権利は有期の場合と終身の場合に評価方法がことなります。
有期定期金は,残存期間に受ける年金給付金の合計に残存期間に応じた以下の割合を乗じた額を評価額とします。
5年以下        70%
5年超10年以下    60%
10年超15年以下   50%
15年超25年以下   40%
25年超35年以下   30%
35年超        20%
終身定期金は,1年間に受ける年給付金額に以下の倍数を乗じた額を評価額とします。
25歳以下       11倍
25歳超40歳以下    8倍
40歳超50歳以下    6倍
50歳超60歳以下    4倍
60歳超70歳以下    2倍
70歳超         1倍

Q321 相続税の計算は,どのように行えばよいのですか?

A321 相続税の算出は,相続人が法定相続分に応じて相続財産を取得したものと仮定して相続税の総額を求めます。
次に,相続人などが実際に取得した財産の価格に応じて,相続税の総額を按分し,各相続人などの事情などを反映させて加算や控除を行うことになります。これが納めるべき相続税額です。

Q322 課税の対象となる遺産の総額は,どのようにして算出するのですか?

A322 まず,本来の相続財産の価値の合計額を算出します。 そして,生命保険金や退職金等のみなし相続財産を加算します。 次に,生命保険金や退職金の非課税枠などを差し引きます。このようにして算出されたものが課税相続財産の価格です。
課税相続財産の価格から住宅ローンなどの債務や葬儀費用を控除します。このようにして算出されるものが総資産価額です。
総資産価額に,相続開始前3年以内に贈与財産,相続時精算課税にかかる贈与財産を加算します。これが課税価格の合計です。
課税価格の合計額から5000万円+1000万円×法定相続人の数の基礎控除を差し引きます。これが課税遺産総額です。

Q323 課税遺産総額をもとに納めるべき相続税額は,どのようにして算出するのですか?

A323 まず,法定相続分で取得したと仮定して,課税遺産総額を法定相続割合い応じて分配し,各法定相続人の取得金額を計算します。
次に,法定相続分で按分した額に応じた税額を,相続税の速算表で求めます。なお,相続税の速算表はトップページを参照してください。
各相続人の相続税額を合計します。これが相続税の総額となります。
そして,相続税の総額を実際に行われる遺産分割の割合に応じて分配しなおします。これが算出税額といわれるものです。
次に,相続人の中に2割加算が適用される者がいれば,その者の算出税額に加算します。
また,配偶者軽減措置,未成年者,障害者控除,贈与税額控除,外国税額控除,相次税額控除などの税額控除がある者の相続税額から税額控除額を差し引きます。 このようにして納めるべき相続税額が算出されます。

Q324 贈与税とはどのような税金ですか?

A324 贈与契約に基づく無償の財産取得に対して,相続税法の規定により課せられる税金です。
なお,贈与契約に基づくといっても契約書がある場合にのみ課せられるのではなく,贈与者から受贈者に財産が移転すれば課税されます。
また,贈与税は,相続税と比較して累進が急です。相続税の場合には課税遺産額が3億円を超えなければ税率が50%とならないのに対して,贈与税の場合には,控除後の課税価格が1000万円を超えると税率が50%となります。 贈与税の税率はトップページを参照してください。

Q325 1年間のうちに数回に分けて贈与した場合,贈与税はどのようにして課せられるのですか?

A325 贈与税は,1月1日から12月31日までに贈与を受けた分の合計額に対して課せられます。このような課税を暦年課税といいます。
ですから,課税対象年度が同一である限り,一度に贈与しても数回に分けて贈与しても贈与税額に変化はありません。

Q326 配偶者に対する贈与について何らかの控除はないのですか?

A326 相続税と同様に配偶者控除があります。
配偶者控除を受けるには婚姻期間が20以上なければなりません。
そして,配偶者控除は,居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭について2000万円までの贈与について課税価格から控除することができます。また,基礎控除との併用も可能ですので,事実上2110万円まで課税価格から控除することが可能となります。

Q327 相続開始前3年以内に行われた配偶者に対する贈与は,相続税の課税対象にされないのですか?

A327 婚姻期間が20年以上の配偶者に対する贈与は,相続開始前3年以内に行われたものであっても相続税の課税対象となることはありません。ですから,遺産の総額が基礎控除の額を超えているときには,相続税対策として利用することができます。

Q328 贈与税にも基礎控除があるのでしょうか?

A328 贈与税にも110万円の基礎控除があります。
贈与税は,暦年課税ですので年間110万円の基礎控除を受けることが可能です。ただし,毎年同じ金額を規則正しく贈与する場合には,定期金の贈与があったとみなされ,各年ごとの贈与があったとみなされないことがありますので注意してください。

Q329 個人から法人に対して贈与がなされた場合にも贈与税が課せられるのですか?

A329 法人が財産を贈与された場合には,原則的に法人税が課せられることになります。
ですから,みなし贈与などに該当する場合以外は,贈与税の対象とはなりません。

Q330 法人から個人に対して贈与がなされた場合にも贈与税が課せられるのですか?

A330 個人が法人から財産を贈与された場合には,所得税の課税対象となります。なお,通常は一時所得と判断され課税されることになります。     ですから贈与税の対象とはなりません。

Q331 贈与する者が死亡することを条件に贈与する場合にも贈与税が課せられるのですか?

A331 贈与する者が死亡することを条件に贈与する契約のことを死因贈与といいます。
死因贈与は,遺言で行う遺贈と類似していますので,遺贈の場合と同様に相続税が課せられます。
ですから,贈与税の対象とはなりません。

Q332 法的には贈与に該当しなくても贈与税が課せられる場合があるのですか?

A332 法的には贈与ではなくても,経済的には贈与と同様の効果を生じるものについては贈与として課税されることになります。
これを,みなし贈与といいます。

Q333 みなし贈与として贈与税が課税されるのはどのような場合ですか?

A333 以下に示すものは,みなし贈与とみなされ贈与税が課せられます。
Ⅰ 委託者以外の者を受益者とする信託受益権
信託行為があったときに課税されます。
Ⅱ 受取人以外の者が保険料を負担した満期保険や,被相続人や受取人以外の者が保険料を負担した死亡保険金
満期を迎えたときや保険事故が発生したときに課税されます。
Ⅲ 受取人以外の者が掛金を負担した場合の定期金の受給権
定期金の給付事由が発生したときに課税されます。
Ⅳ 著しく低い価額で財産を譲受けた場合の利益
譲渡を受けたときに課税されます。
Ⅴ 債務の免除や債務の肩代わりなどがあった場合の利益
債務の免除などがあったときに課税されます。
Ⅵ 無償による貸与があった場合の利益
貸与したときに課税されます。
Ⅶ 共有持分の放棄によって持分が増加したときの利益
放棄があったとき

Q334 私は,妻を被保険者にし,息子を受取人とした生命保険をかけています。この場合,贈与とみなされますか?

A334 奥さんが亡くなり,息子さんが保険金を受領した場合贈与とみなされます。
受取人をあなたに変更すべきです。

Q335 私は,息子名義で満期保険をかけています。この場合,贈与とみなされますか?

A335 保険が満期を迎え,息子さんが保険金を受取れば贈与とみなされます。

Q336 私は,相続税対策のため,毎年,息子に100万円づつ渡しています。この場合に,贈与税を課せられることがあるのですか?

A336 毎年規則正しく贈与すると,毎年の額が基礎控除の範囲内であっても,定期金に関する権利が贈与されたと判断され,定期金としての評価額のうち基礎控除を超える部分が課税対象とされる可能性があります。

Q337 自宅や預金,自動車などの名義を息子名義に変更すると贈与税が課せられるですか?

A337 財産の名義を変更すると,新たな名義人が以前の名義人から財産を無償取得したものとして贈与税の課税対象となります。

Q338 息子が起こした交通事故の損害賠償や,息子の借金を返済すると贈与税が課せられるのですか?

A338 この場合にも,原則的に贈与税の課税対象となります。 ただし,息子さんが無資力のため支払いや返済の能力がない場合には,贈与税を課せられることはありません。

Q339 私は,息子に貸したお金の返済を免除してやろと思います。この場合にも贈与税が課せられてしますのですか?

A339 原則的には,贈与税の課税対象となります。 ただし,息子さんが無資力のため返済の能力がない場合には,贈与税を課せられることはありません。

Q340 私は,父名義の家を増築し,名義を父のままにしています。この場合にも贈与税を課せられてしまうのですか?

A340 この場合にも贈与税が課せられることになります。増築部分の割合に応じて,全体の名義につきあなたの共有持分登記を行っておかなければなりません。

Q341 贈与税が課せられない非課税財産があると聞きましたが説明してください。

A341 贈与税には,社会政策的配慮や国民感情を考慮して非課税とされている財産があります。これを贈与税の非課税財産といいます。 そして,非課税財産には以下のものがあります。
Ⅰ 法人から贈与により取得した財産
ただし,一時所得として所得税や住民税が課せられます。
Ⅱ 扶養義務者からの生活費や教育費の支給
ただし,通常必要と認められる範囲を超える部分や預金や投資に充てられた場合は課税の対象となります。
Ⅲ 宗教,慈善,学術等の公益目的とする事業に供される財産
たたし,公益を目的とする部分に限られます。
Ⅳ 学術奨励や学資支給の奨学金など一定の特定の公益信託から交付される金品
Ⅴ 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金
Ⅵ 公職選挙の候補者が贈与により取得した財産
ただし,公職選挙法の規定により報告されたものに限ります。
Ⅶ 重度障害者の生活費に充てられるなどの目的で行われる特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
ただし,6000万円までの部分に限られます。
Ⅷ 相続開始の年に被相続人から贈与を受けた財産
ただし,相続税の課税対象となります。
Ⅸ 債務超過の場合の債務免除,債務の肩代わり,低額譲受け
ただし,債務者による弁済が困難である範囲に限られます。
Ⅹ 社会通念上相当と認められる香典,お祝金,見舞金などや,離婚の際の財産分

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