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相続と登記

Q342 父は,売買契約により第三者に土地を譲渡しました。ところが,買主は,移転登記をしないまま放置し,父は亡くなりました。 買主は,私たち相続人に対し,移転登記を求めてきています。私たちはこれに応じなければならないですか?

A342 買主が求める移転登記に応じる義務があります。
お父さんは,法的に,買主に対して移転登記義務を負ったまま亡くなられ,あなた方相続人は,お父さんの移転登記義務を相続しています。 ですから,買主の移転登記の求めに応じる義務があります。

Q343 父は,生前Aさんに土地を譲渡していたのですが,Aさんは移転登記を済ませていませんでした。その後,父が亡くなり,私たち相続人は,父が土地を譲渡していることを知らずにBさんに土地を譲渡し,Bさんへの移転登記を済ませてしまいました。このとき,AさんとBさんのいずれが土地の所有権を取得することになるのですか?

A343 この場合,Bさんが土地の所有権を取得することになります。
お父さんが亡くなったことによって,あなた方相続人は,お父さんが負っていた移転登記義務を相続しています。
また,あなた方相続人は,自ら土地の譲渡をしているわけですから,法的には,土地を二重に譲渡した場合と同じ状況になります。
そして,土地を二重に譲渡した場合には,先に移転登記を済ませた人が所有権を取得することができるのです。
このとき,あなた方相続人に過失がある場合,Aさんに対して損害賠償をしなければならない可能性がありますので,注意してください。

Q344 父が亡くなり,母や私たち姉弟が土地を相続したのですが,弟が単独で相続したと偽装して単独で登記をして土地を処分し,移転登記もすませてしまいました。 このとき,私や母の土地の持分も買主のものになってしまうのですか?

A344 あなたやあなたのお母さんは,買主に対して,それぞれ持分について自分のものであると主張することができます。
この場合,買主は,あなたとあなたのお母さんの持分については,何らの権利もない弟から購入したことになります。ですから,買主に登記が移転していたとしても,それぞれの持分の返還を求めることができます。

Q345 父が亡くなり,母や私たち姉弟が土地を相続したのですが,弟が単独で相続したと偽装して単独で登記をして,その土地に抵当権を設定して抵当権設定の登記も済ませてお金を借りました。 この場合,私や私の母の持分に対しても抵当権が設定されたことになるのですか?

A345 この場合,あなたとあなたのお母さんの持分については,何らの権利もない弟が抵当権を設定したことになりますので,抵当権設定行為については無効となります。

ですから,あなたとあなたのお母さんは,自らの持分について抵当権設定登記を抹消するように求めることができます。

Q346 父が死亡し,母と私が父の土地を相続しました。
私は,母と話し合い,土地については私が相続することにしたのですが,移転登記を済ませていませんでした。
すると,母の債権者から,母の持分に対する差押えが入り,登記されてしまいました。
私の土地に対する差押さえを排除することはできますか?

A346 排除することはできません。
遺産分割を行った後の第三者の権利設定については,先に登記した方の主張が認められてしまいます。
ですから,あなたの移転登記より先になされた差押えの登記がなされている以上,あなたは,差押えを排除することができません。

Q347 父が死亡し,母と私,弟が父の土地を相続しました。遺産分割協議の結果,私が土地を相続することになったのですが,移転登記を済ませていませんでした。 すると,弟は,本来の法定相続分であった土地の4分の1の持分を第三者に譲渡し,移転登記もすませてしまいました。
私は,買主に対して,持分の返還を求めることはできますか?

A347 できません。
遺産分割を行った後の第三者の権利設定については,先に登記した方の主張が認められてしまいます。
ですから,あなたの移転登記より先になされた持分の移転登記の効力が認められることになるのです。

Q348 父が死亡し,母と私,弟が父の土地を相続しました。私は,多額の負債を抱えていることもあり,父の相続については放棄しました。ただ,母や弟は,父から登記名義の変更を行っていません。 すると,私の債権者が父名義になっていた土地の私の持分について差押さえをして登記まで済ませています。
私が相続放棄した持分に対する差押さえは有効なのでしょうか?

A348 相続放棄は,相続開始のときに遡って効力が発生します。
ですから,あなたは,相続開始のときからお父さんの土地を相続していないことになります。
この結果,あなたの本来の相続分に対する差押えも他人の土地にあやまって差押えを行ったということになり,差押さえの効力はありません。

Q349 父は,遺言書により土地を私に遺贈してくれました。私が父から遺贈を受けた土地について移転登記を済ませていない間に,私の弟の債権者が弟の本来の相続分に対して差押えをして登記も完了させてしまいました。 本来の弟の相続分に対する差押えは有効なのでしょうか?

A349 差押えの効力は有効です。
あなたの弟の相続分は,あなたの弟からあなたに移転した関係になります。
ですから,債権者の差押えとの関係でいえば,先に登記を備えた方の効力が認められることになるのです。

Q350 父は,遺言で相続分の指定を行い,母を2分1,私を8分の3,弟を8分の1としていました。ところが,遺言の執行が完了するまでの間,暫定的に法定相続分に応じた登記を行っておくことになりました。 その後,私の弟は,本来の相続分であった土地の4分の1の持分を譲渡し,登記をすませてしまいました。 弟が無権限で譲渡した8分の1については取り戻すことができますか?


A350 取戻すことができます。
あなたの弟さんが譲渡した4分の1のうち8分の1は無権限での譲渡ですので,譲受けた方が4分の1の譲受けの登記を行っていたとしても,持分の8分の1については取戻すことができるのです。

Q351 私の父は,生前に祖父から土地を贈与されていました。
父は,祖父から贈与された土地について移転登記を行うことなく亡くなってしまいました。
祖父は,その後,遺言書を作成し父に贈与した土地を父の弟に遺贈してしまい,父の弟は移転登記を済ませました。 私は,父が贈与された土地の所有権を失ってしまうのでしょうか?

A351 失うことになります。
あなたのお父さんは,生前に土地を贈与されたのですから,それをあなたが相続するので,あなたに所有権が帰属するようにも思えます。ところが,あなたのおじいさんは,おじさんに遺贈したわけですから,あなたのおじいさんは,異なる者に土地を二重に譲渡したのと同様の関係になるのです。ですから,先に登記を備えた者が自らの権利を主張することができ,質問の場合ですとおじさんが所有権を主張できるという結論になるのです。

Q352 私の父は,生前付き合っていた女性に対して不動産を贈与し,亡くなりました。
私の父には,めぼしい財産がないため,その女性に対して遺留分減殺請求を行いました。すると,その女性は,父から贈与された土地を第三者に譲渡してしまい移転登記も済ませています。 このとき,私は,遺留分に応じた土地の持分の返還を求めることができますか?

A352 できません。
女性は,あなたの遺留分減殺請求後に土地を譲渡しているわけですから,あなたと女性からの譲受人とは,登記を先に備えた方が権利を主張できるという関係になります。 なお,民法1040条では,「減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない。ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。」と規定されていますが,これは遺留分減殺請求前の関係を規定したものとされています。
ですから,この規定の適用を受けることができず,先に説明したように登記を先に備えた者が勝つという関係になってしまうのです。

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