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相続人の欠格・排除

Q27 民法で相続人と定められている者は,民法が定める順位に従って必ず遺産相続を受けることができるのでしょうか?

A27 民法で相続人と定められている者のことを法定相続人といいますが,法定相続人が必ず相続を受けることができるというわけではありません。
そもそも,法定相続人が相続を受ける権利を持っている理由のひとつに,これらの者が家族的共同体の一員であるという点があります。そこで,民法では,このような家族的共同体を破壊する一定の行為を行う者について相続権を奪うことになっています。これを相続人の欠格といいます。
また,相続の欠格まではいかなとしても,これに準ずるような家族的共同体を破壊する行為が行われた場合には,予め相続権を奪うことができます。これを相続人の廃除といいます。
以上のように,相続の欠格にあたる場合や相続人から排除された場合には,法定相続人で合っても相続を受けることができないということになります。

Q28 どのような行為を行った場合に,相続の欠格に該当するのですか?

A28 民法では次のような行為を行った場合に相続人となることができないと規定されています(891条)
故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ,又は至らせようとしたために,刑に処せられた者 被相続人の殺害されたことを知って,これを告発せず,又は告訴しなかった者。
ただし,その者に是非の弁別がないとき,又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは,この限りでない。
詐欺又は強迫によって,被相続人が相続に関する遺言をし,撤回し,取り消し,又は変更することを妨げた者
詐欺又は強迫によって,被相続人に相続に関する遺言をさせ,撤回させ,取り消させ,又は変更させた者
相続に関する被相続人の遺言書を偽造し,変造し,破棄し,又は隠匿した者
ここで,被相続人とは,将来亡くなったときに自らの財産を相続させる人のことです。
遺言がらみの不正行為は相続欠格事由になりますので注意してください。
なお,以上のような行為が合った場合,特別な手続を経ることなく,当然に相続人としての資格を失うことになります。

Q29 相続人の廃除はどのような場合に認められるのですか?

A29 民法では次のような行為を行った場合に,相続人を廃除することができると規定されています。
被相続人に対して虐待をし,若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき
推定相続人にその他の著しい非行があったとき
ここで,推定相続人とは,将来相続人となる立場にある人のことをいいます。ですから,配偶者,直系卑属,直系尊属,兄弟姉妹とその子のことです。
相続人の排除は,相続の欠格とはことなり,法律上当然に相続人という資格を失う訳ではなく,被相続人が家庭裁判所に申立てをして,認められた場合に認められるものです。また,相続人の廃除は,遺言でも行うことができ,この場合には遺言執行者が申立を行うことになります。
虐待や重大な侮辱というのは,主観的な評価が含まれていますので,どの程度であれば民法が定める要件に該当するか,判断が難しいところがあります。相続人の排除が認められますと相続権を失うわけですから,それ相応の行為がないと虐待や重大な侮辱を行ったということにはならないと思われます。例えば,一時の感情にまかせて暴力を加えた場合や暴言を吐いたという場合にはあたりません。
また,著しい非行についても,単に被相続人の言うことを聞かないであるとか,夜間遊んで自宅に戻らない程度のものは含まれません。

Q30 両親(父母)が相続人として欠格し,あるいは祖父母から相続人の廃除を受けた場合,私は相続人となれるのでしょうか?

A30 自分の親が相続人として欠格したり,祖父あるいは祖母から相続人の廃除を受けた場合には,親に代わって代襲相続することになります。
  ただし,親が欠格したり排除されたのではなく,相続を放棄した場合には,代襲相続を受けることができませんので,注意が必要です。

Q31 私は,甲を相続人から排除しようと考えています。ただ,甲には配偶者がおり,将来甲と配偶者との間に子供(孫)が生まれた場合,孫には相続をさせてあげたいと考えています。私が甲を排除した後に孫ができた場合に,孫は私の相続を受けることができるのでしょうか?

A31 甲の子は,あなたが亡くなる前に生まれていれば相続人となることができます。
民法887条2項は,被相続人(あなた)の子(甲)が,・・・その相続権を失ったときは,その者の子が代襲相続すると規定されており,あなたが亡くなるときに,甲の子がうまれておればよいと規定しています。この規定にしたがって,あなたの孫は,将来あなたの相続を受けることができるのです。

Q32 私は,配偶者と離婚するつもりはありませんが,浮気を繰り返す配偶者に相続をさせたくないと考えています。配偶者でも相続人から廃除することはできるのですか?

A32 配偶者でも排除できると考えられています。
配偶者に相続させたくないのであれば,端的に離婚をすればよいのであるから,配偶者の排除は認める必要がないという考え方もあります。しかし,離婚をするか否かは,その人の自由で,離婚まではいかなくとも相続人から廃除するという選択肢もみとめられるべきです。 かつて,大阪高裁では,配偶者の排除を認めた例もありますので,配偶者の排除は認められると考えてよいと思います。

Q33 私の兄弟(姉妹)が両親(父母)に迫り遺言書を作成させたようなのですが,どのようすればよいですか?

A33 両親(父母)が真意に基づいて作成していない遺言書は無効です。ただし,後日,遺言書が真意に基づいて作成されたものか否かを判断すること非常に困難です。そして,遺言書が存在する以上,その遺言書は有効なものと推定されます。ですから,これを放置していると,兄弟(姉妹)の方が画策したとおりの遺産分割が行われることになりかねません。ですから,直ちに是正すべきです。
方法としては,両親(父母)に新たな遺言書の作成を勧めるのが最も適切であると思います。遺言書は,何度作成してもよく,最後に作成されたものが効力をもつことになります。ですから,両親(父母)に遺言書作成することが最もよいと思います。 なお,両親(父母)に遺言書作成の経緯について説明したものをビデオで録画しておく,あるいは書面に残すという方法も考えられますが,そのビデオや書面の信憑性事態争われる可能性があります。ですから,最もよい方法は,新たに真意に基づいた遺言書を作成してもらうことです。

Q34 両親(父母)が死ぬ間際に,無理矢理心にもない遺言書を作成させられたと言って他界しました。どのように対処すればよいでしょうか?

A34 Q27でも説明しましたが,真意に基づかない遺言書は無効です。ですから,遺言の無効を主張して,最終的には裁判で争うことになります。ただし,遺言無効を主張しても,何も証拠がない場合に裁判所で遺言が無効であると認めてもらうことはできません。 仮に,遺言が無効であると認められれば,改めて遺産分割協議を行うことになります。また,Q25で説明しましたように,無理矢理遺言書を作成させた者は,相続人の資格を失う可能性もあります(民法891条)。このときには,その人を除いた形で遺産分割協議を行うことになります。しかし,無理矢理遺言書を作成させた者を除いて遺産分割を行った場合,不動産の名義を変えたり,預金を引出す,あるいは貸金庫を開扉するとき等に,その人が本当に欠格事由を有することの証明を求められることになります。このとき,裁判所で遺産分割協議が有効であること,あるいは欠格事由があることを求めて裁判をすることになります。また,除外された人から,遺産分割協議が無効であることの確認や遺産の引渡を求める裁判を起こされる可能性がありますので注意が必要です。

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