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相続放棄

Q51 父は,生前事業を営んでいたのですが,多額の負債を残して亡くなりました。私や他の相続人が父に代わり借金の支払いをしなければならないのでしょうか?

A51 相続放棄をしない限り,多額の借金についても相続することになるので,お父さんの借金を支払うことになってしまいます。亡くなられた方(被相続人)が多額の借金を抱え,資産よりも借金の方が多い場合には,相続放棄の手続をしなければければなりません。
プラスの財産だけでなくマイナスの財産である借金等も相続し,借金を除外しプラスの財産だけを相続するというわけにはいきません。資産より借金の方が多いのであれば,相続放棄を検討すべきです。

Q52 父が多額の負債を抱えたまま亡くなったため相続放棄を考えています。相続放棄をするにあたって何か手続きが必要になるのですか?

A52 相続放棄は,口頭や書面で相続放棄をすると表明するだけでは認められません。相続放棄の手続は,相続を受けた(被相続人が亡くなった)ことを知ったときから,3ヶ月以内に家庭裁判所に対して,相続放棄の申立てを行う必要があります。
家庭裁判所に対する申立を行うことなく3ヶ月が経過してしまいますと相続の放棄ができないということにもなりますので注意が必要です。

Q53 私の父は,多額の負債を抱えており,私や母,弟は相続を放棄したいと考えています。父はまだ存命ですが,相続の放棄を予め行っておくことは可能ですか?

A53 被相続人(父)が存命中の間に,予め相続を放棄することはできません。
被相続人が存命中に相続の放棄を認めない理由は,父親等から相続放棄を強要されること防止する目的で,例外的な取扱いは認められていません。相続が開始(父が亡くなった)後,速やかに手続を行ってください。

Q54 私の夫は,多額の負債を抱えて亡くなりました。私と夫との間には成人に達していない子がいるのですが,私も子供も相続の放棄を行いたいと考えています。私が子供の母親として相続放棄の手続を行うことができるのでしょうか?

A54 母が未成年の子の相続放棄を行うには,家庭裁判所に特別代理人を選任してもらい,その特別代理人よって相続放棄の手続を行ってもらう必要があります。
このような制度が採られている理由は,母親が子供の相続分を奪い自らの相続分を増やすことを画策することを防止するためです。そして,特別代理人が子供にとって相続放棄をすることにメリットがあるかどうかを判断して,相続放棄の手続を行ってくれるのです。

Q55 5年に別れた夫が,多額の負債を抱えて数年前に亡くなったようで,私の子供に対して債権者から請求書が送られてくるようになりました。私の子供は,まだ未成年ですが,別れた夫の借金を返済していかなければならないのでしょうか?

A55 家庭裁判所に相続放棄の申立ができるのは,相続の開始(被相続人が亡くなった)ことを知ったときから3ヶ月です。そして,未成年者の場合には,法定代理人(質問の場合ですと母)が相続放棄の申立を行うことになるのですが,3ヶ月の計算は法定代理人(母)が知ったときを基準に行われます。ですから,債権者からの請求により別れた夫が亡くなったことを知ったのであれば,そのときから3ヶ月以内に家庭裁判所に対して相続放棄の申立を行えば,相続放棄は認められます。

Q56 私の弟が亡くなったのですが,弟は多額の借金を抱えていたようで,弟の妻や子らは全員相続放棄を行ったそうです。これにより私になにか影響がでるということはるのでしょうか?

A56 あなたが相続人となり負債を抱え込むことになる可能性があります。
相続の放棄を行うと,初めから相続人でなかったものとみなされます。この結果,亡くなった弟には,相続との関係で配偶者や子がいなかったという扱いになりますので,第2順位の直系尊属(あなたの両親や祖父母)が相続することになり,直系尊属がいなかったり,直系尊属も相続放棄をすれば,第3順位のあなたやその兄弟姉妹が相続することになります。相続の放棄が行われると代襲相続がはじまると考えればよいのです。
ここで,代襲相続とは,本来の相続人がいない場合にその直系尊属や直系卑属,兄弟姉妹が代わりに相続する制度ですが,直径尊属や直径卑属については際限なく代襲相続され,兄弟姉妹についてはその子までが代襲相続することになります(Q14を参照してください。)。ですから,亡くなられた方の配偶者や子が相続放棄をしますと,直径尊属や直径卑属については全員相続放棄の手続をとらなければならなくなり,その方も全員相続を放棄した場合には,亡くなられた方の兄弟姉妹,その中でだれか亡くなられている方がいますと,その子までが相続放棄を行わなければ負債を相続するということになりますので注意が必要です。

Q57 私の父が亡くなったのですが,父と同居している兄から,父には多額の負債があるので相続放棄を行うので,私にも相続放棄を行うように連絡がありました。そこで,私は,相続放棄の手続を行ったのですが,兄は相続放棄を行っていませんでした。兄が相続放棄を行っていない理由を調査しますと,父には多額の負債など亡かったことが判明し,私は,兄に騙されて相続放棄を行っていたことが分かりました。私の相続放棄を取消すことはできませんか?

A57 他の相続人に騙されたり,強迫されて相続放棄を行った場合には相続放棄を取消すことが可能です。
相続放棄取消の申立を家庭裁判所に対して申し立てることになるのですが,申立が可能な期間は,騙されたことが判明した,あるいは強迫の状態から開放されたときから6ヶ月となっています。ですから,騙されたと知ったときには早急に相続放棄取消の申立を行うべきです。

Q58 私は,兄に騙されて相続放棄をしたのですが,これを取消そうと思っています。兄に騙されたことを家庭裁判所に認めてもうらにはどのような方法がありますか?

A58 家庭裁判所に騙されて相続放棄を行ったということを証明するのは非常に難しい作業です。当然のことながら,お兄さんは,家庭裁判所で騙しましたと証言してくれません。ですから,兄弟姉妹から相続放棄を勧められた場合,軽々に相続放棄の手続を行うのではなく,資産や負債の状況を確認を行うべきです。
また,多額の負債があるため,相続放棄を勧められた場合には,勧める相続人に書面で相続放棄を勧める理由等について説明することを求めるのも一つの方法です。
兎にも角にも,相続放棄をしてしまうと,それを取消すのは非常に困難なことですので,相続放棄は慎重に行うべきです。

Q59 父が亡くなったのですが,兄が母の面倒をみるということでしたので,私や弟は相続の放棄をしました。ところが,最近になって,兄は母の面倒を全く見ていません。私や弟は,相続の放棄を取り消すことが可能でしょうか?

A59 このような事案で相続放棄の取消が認められるかどうかは一概には答えることができません。
相続放棄の取消しをするためには,詐欺・強迫により相続放棄を行ったことを証明する必要があるのですが,質問の場合ですと詐欺により行われたかどうかが問題となります。そして,兄が母の面倒をみるといったが現在は見ていないという状況が,兄による詐欺かどうかは,具体的な事情により決定されることになります。仮に,兄が相続放棄の直後に母の面倒を見なくなったというのであれば詐欺の可能性もありますが,長年面倒見てきたが経済的に支えることが困難になってきたというのであれば詐欺にはあたりません。 このように詐欺にあたるかどうかは,具体的な事情により判断していく以外にないのです。

Q60 父が亡くなったのですが,嫁いでいる姉が相続の放棄をするといっています。私には弟もいるのですが,姉が相続放棄した場合の相続分はどのようになるのですか?

A60 相続放棄をすると初めから相続人ではなかったことになります。
ですから,姉が相続放棄した場合には,亡くなった方の配偶者とあなた,弟が相続人となり,相続分は次のようになります。
配偶者    1/2
あなた    1/4
弟      1/4

Q61 父が亡くなったのですが,弟がお金に困っているようで父の預金を分割して欲しいとお願いされ,母,私,弟で父の預金を解約して分けました。ところが,父の負債を調べていると資産より負債が多いことが判明し,相続放棄をしたいと考えています。相続放棄をすることはできますか?

A61 相続財産の一部である預金を解約し,分割まで行っているので相続放棄ができなくなると考えてよいと思います。
民法921条は,次のような行為があったときには相続を承認したものとして相続放棄を認めません。これは,法定単純承認と呼ばれています。
相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。
相続人が3ヶ月以内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
相続人が,限定承認又は相続の放棄をした後であっても,相続財産の全部若しくは一部を隠匿し,私にこれを消費し,又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。
ですから,相続財産を処分する際には,財産の内容をよく確認して相続放棄を行うことはないとの確信を得てから行うべきです。

Q62 父が多額の借金を抱え長年家を不在にしていたため,誰も使用しない父の自動車を処分しました。ところが,父は,自動車を処分した時点で既に死亡していました。このときにも,相続を承認したものとして相続放棄が認められなくなるのですか?

A62 相続人が相続財産の処分により相続放棄が認められなくなるのは,相続の開始(被相続人の死亡)を知っていなければならないというのが最高裁の判例です。ですから,父がなくなっていることを知らずに,自動車を処分しても相続を承認したことにはならず,相続放棄をすることは可能です。

Q63 父が亡くなったのですが,父には財産も借金もないと思っていたので何もせず放置していました。ところが,父が亡くなって1年ほどすると,銀行から父が連帯保証人になっており,お金を借りた人が自己破産したので私や弟に返済をして欲しいと言われています。私や弟は,生前父が連帯保証人であったということで,自己破産した人の代わりに支払いをしなければならないのですか?

A63 微妙な事案ですが,支払いをしなくてもよい可能性があります。まずわ,相続放棄の申立てをしておくべきでしょう。
最高裁の判例では,「相続が開始したこと(被相続人がなくなったこと)」と「自らが相続人となったこと」を知ったときから,3ヶ月以内に相続放棄の手続を行わなければ相続放棄は認めないとされています。ただ,最高裁の判例では,3ヶ月以内に相続放棄をしなかったのが,被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり,そのように信じることについて相当な理由があるときは,「相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から」計算するとしています。
ですから,質問のような事案では,相続放棄が認められる可能性がありますので,相続放棄の申立を行い,争うべきです。

Q64 祖父が亡くなり父が相続をしましたが,父も祖父が亡くなってから2ヶ月で亡くなりました。この場合,私は,祖父の遺産について相続放棄をいつまでに行えばよいのですか?

A64 あなたは,父が亡くなったことにより,父が相続を放棄する権利を承継することなり,法律の世界では再転相続と言われています。この場合,あなたは,父が相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に相続放棄をする必要はなく,あくまであなた自身が相続の開始を知ったときになります。
仮に,父が先に亡くなっていた場合には祖父が亡くなってから3ヶ月以内に相続放棄の申立を行う必要がありますが,質問の場合ですと祖父の遺産の放棄につき,父が亡くなってから3月以内に放棄すればよいことになり,相続放棄の期間が結果的に延びることになるのです。

Q65 祖父が亡くなり父が相続をしましたが,父も祖父が亡くなってから2ヶ月で亡くなりました。祖父は多額の負債を抱えており,父には借金はありません。祖父の相続は放棄して,父の財産について相続するということは可能でしょうか?

A65 可能です。 あなたのような相続人のことを再転相続人というのですが,再転相続人には,それぞれの相続について放棄・承認の選択が認められています。ですから,祖父の相続を放棄し,父の相続については承認するということもできるのです。

Q66 祖父が亡くなり父が相続をしましたが,父も祖父が亡くなってから2ヶ月で亡くなりました。祖父には借金がありませんので祖父の分については相続したいのですが,父には多額の負債があるので父の相続は放棄したいと考えています。このようなことは可能ですか?

A66 可能です。 あなたのような相続人のことを再転相続人といいます。そして,再転相続人は,父の死亡により父が持っていた祖父の相続について承認あるいは放棄する権利を承継していますので,父から承継した権利を行使して祖父の相続受けることができるのです。そして,父の相続については,再転相続人自身に,相続の承認・放棄を行う権利が発生していますので,それに基づいて祖父の相続とは関係なく相続するか放棄するかの選択が可能なのです。 ここで注意しなければならないのが選択を行う順番です。ただ,先に父の相続について相続放棄を行ってしまいますと,父から承継した選択権まで放棄することになってしまい,祖父の相続について承認あるいは放棄することについての選択権がなくなってしまいますので,祖父の遺産まで放棄することになってしまいます。
ですから,再転相続の場合に,被相続人ごとに承認・放棄の選択を行う場合には,その順番について注意が必要になります。

Q67 父が亡くなったのですが,私には多額の負債があり,私が相続すると父の遺産で私の借金の返済をすることになりますので,これを回避するために相続放棄を考えています。ところが,先日,債権者の一人から,私の相続放棄は,債権者を害する行為なので取消すことができるので,相続放棄をしない方がよいと言われました。本当に私の相続放棄は取消されることになるのですか?

A67 相続放棄が取消されることはありません。
債務者が財産を処分することによって,債権者の回収の機会を奪うような行為を詐害行為といい,債権者はこのような差害行為を取消すことができるのです(民法424条)。債権者から見れば,あなたが相続財産を放棄することも,取得予定の財産を放棄するのと似ており詐害行為に見えるかもしれません。
しかし,相続放棄は,はじめから相続人ではなくなるという効果があり,取得しようとしていた財産を放棄するのとは明らかに異なります。ですから,債権者によって,あなたの相続放棄が取消されることはありません。また,最高裁でも,相続放棄の取消しを認めない内容の判決が下されています。

Q68 父が亡くなったのですが,父の遺産は母が現在も住んでいている自宅だけです。私と弟は,父が残した遺産を全て母に相続させたいと考えていますが,私と弟は家庭裁判所に対して,相続放棄の申立をすべきでしょうか?

A68 相続放棄の申立までする必要はないと思います。
一人の相続人に相続させたいのであれば,遺産分割協議でそのように定めればすむだけですので,わざわざ相続放棄までする必要はありません。
後日,父には別の遺産があることが判明したという可能性もあり,この場合に相続放棄をしてしまっていれば,新たに発見された財産の相続を受けることができなくなります。ですから,相続放棄は慎重に行うべきであると考えます。

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